新茶の時期とは|縁起のよい特別なお茶
春先になると、新茶の初セリや新茶祭りのニュースが流れ、お茶屋さんの店先には「新茶入荷しました」の文字が目に入ります。この季節がくると、茶畑の鮮やかな緑が目に浮かび、夏も近づく八十八夜~♪のメロディーも聞こえてきそうです。この心躍る新茶の季節ですが、新茶と呼ばれるのはいつ頃の時期までかご存じでしょうか。このコラムでは新茶の時期や、新茶が特別なものとして親しまれてきた理由についてご紹介します。

新茶とは
新茶とはその年最初に芽吹いた「一番茶」を摘んでつくるお茶のことを指します。新しい芽の周りに3枚ほどの芽がついた「一芯三葉(いっしんさんよう)」と呼ばれる部分を摘み取り、お茶に加工します。冬に栄養をたっぷりと蓄えた新芽はみずみずしく、若々しい香りが特徴で、柔らかい葉には旨味成分のテアニンが多く残っているため、甘みや旨みがしっかりと感じられます。

地域によって異なるものの“一番茶”が収穫され始める時期は4月上旬〜5月頃で、6月上旬頃までに収穫されたお茶が新茶と呼ばれます。それ以降も次々と出てくる新たな芽は、収穫時期により二番茶、三番茶と呼ばれます。9月以降に摘まれる秋冬番茶と呼ばれる四番茶が今年最後の収穫となり、お茶農家は来年の新茶の時期に向けてまた新たに準備を始めます。
◆お茶の種についてこちらでご紹介しています。
お茶の種類|本格派から入門者まで楽しめるお茶の知識をご紹介
新茶の出物
お茶を製造・加工する過程で、お茶の葉の大きさを揃えるため選別が行われますが、この選別から外れた葉を集めたものは「出物」と呼ばれます。原材料は同じであるものの大きさが規格外であるため低価格で販売されることが一般的ですが、できあがる量が少ないこともあり、この出物を希少なものとして好む方も少なくありません。出物には葉の部位ごとに次のような種類があります。
芽茶(めちゃ):
芽先のやわらかな部分を選別したお茶。玉露や煎茶など高級茶となる原料から選別されるため、濃厚な味や香りが特徴。
茎茶(くきちゃ):
茎の部分だけを選別したお茶。さっぱりとした味わいとさわやかな香りがある。
粉茶(こなちゃ):
細かい粉状の葉を集めたお茶。濃い味わいと鮮やかな色が特徴。お寿司屋さんで出される濃い緑色のお茶がこの粉茶。

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縁起物としての新茶
ことわざに「初物七十五日」とあるように、古くから初物を食べると七十五日寿命が延びると言われてきました。その年最初の芽から作られる新茶も、まさに初物として縁起物の一つであり、今でもお茶の産地を中心に神社などで新茶の奉納式が行われています。
マックマーのオフィスに近い日本橋人形町でも、毎年八十八夜に「茶ノ木神社」というお茶に縁のある神社で献茶式・献茶祭が行われ、お茶業界の各組合や日本茶インストラクターの方々により新茶がふるまわれています。

茶之木神社のWEBサイトより
お茶の歴史|悠久の時を経て進化する日本のお茶の歴史
新茶と八十八夜
八十八夜とは二十四節季のように、季節の移り変わりを示した雑節と呼ばれる目安の一つで、立春から数えて88日目を指します。立春は年によって変動するので八十八夜もその年によって変わりますが、だいたい5月2日頃となり、気候が安定し霜の心配もなくなる時期であることから、もともと農作業の本格的な始動の目安とされてきました。お茶農家にとっては新茶の摘み取りを始める日であり、この日に摘んだお茶は縁起がよいとされ重要視されてきました。

現在では地球温暖化の影響もあり茶摘みを始める時期が早まり、八十八夜がスタートとは限らなくなってきています。各地のお茶農家の方々は知識や経験を駆使して、茶摘みに最適な時期を見極めていて、それはお茶農家の腕の見せ所の一つでもあります。
◆お茶のおいしいいれかたについてこちらでご紹介しています。
日本茶のいれ方をわかりやすく解説!もっとおいしくなる幸福お茶時間。

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茶どころと新茶の時期
日本には各地に茶どころがあり、それぞれの地域ごとに魅力的な品種や味わいを持ち、新茶が摘まれる時期も地域ごとに異なります。
九州地方
全国に先駆けて新茶が収穫されるのは南に位置する九州地方で、鹿児島県の知覧茶や福岡県の八女茶などがよく知られています。早い場所では4月上旬から収穫が始まります。
中部地方
中部地方では、4月下旬から収穫が始まります。静岡県の川根茶、本山茶、掛川茶は静岡三大ブランドとして特に有名です。
近畿・関東地方
5月に入ると近畿地方や関東地方でも収穫が始まり、茶摘みは初夏の風物詩となっています。日本三大銘茶は静岡県の静岡茶、京都府の宇治茶、埼玉県の狭山茶ですが、三大銘茶のうち二つが、この時期に収穫を始めるのですね。
このようにそれぞれ適した時期に収穫された新茶はお茶に加工され、市場に出回り、その後お茶屋さんの店頭で「新茶入荷しました」の文字を、私たちが見かけることになります。
◆緑茶と煎茶の違いとは何でしょうか。こちらで詳しくご紹介しています。
緑茶と煎茶の違い|知って楽しむ日本茶の魅力
お茶はもともと薬として日本に入ってきたこともあり、体によいものとされてきました。新茶はさらに初物として、また旬のものをいただくというありがたみも加わり、特別なものとして広く親しまれてきました。おいしくて身体によく、縁起もよいとなれば、多くの人が新茶の時期を心待ちにするのも当然ですね。
今から新茶が店頭に並ぶのが待ち遠しくなりますが、最近は茶摘み体験ができるお茶農家さんも増えているようです。自分で摘んだ新芽でお茶を作ってくれるので、思い出深い味が楽しめそうです。また皆さまのお住まいの近くでも、新茶の奉納式やお茶祭りなどが行われているかもしれません。
次の八十八夜には、新茶を味わいに足を延ばしてみてはいかがでしょうか。おいしい新茶で幸福お茶時間をお過ごしください。

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お茶請けとは|知っておきたいお茶とお菓子の組み合わせ

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