記事: 緑茶と紅茶の違い｜比べて納得！それぞれの魅力
緑茶と紅茶の違い｜比べて納得！それぞれの魅力
私たちのティータイムにおなじみの緑茶と紅茶。緑茶は日本の伝統的な飲み物として、また紅茶はイギリスを代表するお茶としてどちらも人気ですね。緑茶と紅茶を比べてみると意外な関係性も見えてきます。今回は緑茶と紅茶の違いについてご紹介します。
緑茶と紅茶は同じ茶の木から
緑茶と紅茶は、実は同じ“茶の木”（チャノキ／学名：カメリアシネンシス）というツバキ科の植物の茶葉から作られています。同じ植物の葉を使っていますが、収穫後にお茶に加工する製造工程が異なり発酵度合いが違うため、それぞれ特徴を持った色や味となります。緑茶、紅茶の他に烏龍茶やプーアール茶などの中国茶も、全て同じ茶の木から作られています。同じ植物の葉からバリエーション豊かなお茶の種類ができるとは驚きですね。
日本茶、紅茶、中国茶などのお茶の種類については下記の記事で詳しくご紹介しています。
お茶の種類｜本格派から入門者まで楽しめるお茶の知識をご紹介
緑茶と紅茶、発酵度合いと製造工程の違い
緑茶と紅茶の一番の違いは発酵度合いにあります。緑茶は製造工程で発酵させない“不発酵茶”、紅茶は完全に発酵させて作られる“完全発酵茶”です。ただし発酵といってもいわゆる菌を使った発酵ではなく、お茶の世界では茶葉の酸化のことを発酵と呼んでいます。この酸化が独特の茶葉の色合いや味の変化をもたらしています。
それでは緑茶と紅茶それぞれの製造工程を見ていきましょう。
緑茶も紅茶も、葉を摘み、揉捻（じゅうねん＝葉をもむ）し、乾燥させる工程は共通していますが、緑茶はまず蒸したり炒ったりと加熱することによって酸化発酵を止めてしまいます。その後、揉捻し乾燥させます。発酵の過程がないため、完成した茶葉はもともとの緑色が残ります。
一方、紅茶は萎凋（いちょう＝しおれさせて水分を蒸発させる）後、揉捻し発酵を促します。発酵によって葉が赤色になりよい香りが出たら、乾燥させます。
緑茶と紅茶、完成後の違い
茶葉が完成したあとにはどんな違いがあるのでしょうか。
茶葉の色
緑茶：発酵させていないので、茶葉本来の緑色を保っています。
紅茶：発酵により赤褐色から黒褐色に変化します。
味と香り
緑茶：さわやかな草のような香りと若々しい風味
紅茶：花や果実のような芳醇な香りと濃厚でコクのある風味
カフェイン含有量
緑茶：種類によって異なります。煎茶のカフェイン含有量は比較的少なく、またL-テアニンというアミノ酸の一種でリラックス効果のある成分も含まれていることから、覚醒効果は穏やかです。抹茶や玉露は、煎茶よりカフェインが多く含まれています。
紅茶：緑茶よりもカフェインが多く覚醒作用があり、集中力アップや疲労回復などに効果があるとされています。
抗酸化物質
緑茶：カテキンが豊富で、特にエピガロカテキンガレート（EGCG）という抗酸化物質を含んでいて、抗ウイルス作用が期待できます。
紅茶：ポリフェノールの一種であるテアフラビンやテアルビジンという抗酸化物質を含んでいます。動脈硬化の抑制など生活習慣病の予防に効果があるとされています。紅茶をいれた時のきれいな赤褐色は、この2種のポリフェノールによるものです。
基本的ないれ方
緑茶: 70~80℃のお湯を使い、短時間で抽出します。
紅茶: 沸騰したての軟水を使い、緑茶よりも長めに2分半～4分ほどかけて抽出します。
緑茶、紅茶のおいしいいれ方は下記の記事でそれぞれ詳しくご紹介しています。
緑茶と紅茶では同じ木から作られながらも発酵度合いの違いによって、色や風味はもちろん成分にもこんな違いがあることが分かりました。飲む時間帯や季節などによって飲み分けてみるのもよさそうです。たとえば朝の目覚めにはカフェインの多い玉露ですっきりと、仕事をはじめる時には紅茶のテアニンで集中力アップ、夜お休み前にはカフェインの少ないほうじ茶でリラックスなどはいかがでしょうか。
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緑茶と紅茶、歴史や文化の違い
ここまで緑茶と紅茶の違いを見てきましたが、どちらも同じ茶の木の葉から作られながらも、それぞれの歴史と文化を持ち、それぞれの国や地域で人々の健康を助け、コミュニケーションを促し、ティータイムに安らぎの時間をもたらしてくれています。
日本人の生活にもすっかりとけ込んでいる緑茶や紅茶ですが、実は一般家庭で当たり前のように飲まれるようになった歴史はどちらも意外と短く、緑茶は大正から昭和にかけて、紅茶は1971年の輸入自由化以降のこと。今やコンビニや自販機でたくさんの種類のお茶が手軽に手に入るようになり、日本茶や紅茶の専門店にはセレクトショップなども登場してきて、魅力はますます高まってきています。
緑茶や紅茶を飲みながら、皆さまもどうぞ素敵な幸福お茶時間をお過ごしください。
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